不幸な猫をなくすには?~猫を飼っている方へ~
東京都には、猫に関する苦情が年間約4000~5000件寄せられています。
苦情の内容は、ふん・尿、鳴き声などの生活環境被害の苦情から、動物愛護に関する相談まで多岐にわたりますが、その多くは、飼い主の無責任な飼い方が原因となっています。
動物の命を尊重し、大切にすることは、誰もが守るべきことです。
また、ふん・尿などの後始末や動物の健康への配慮など、人に迷惑をかけないように、適正に飼育することが重要です。
1 東京都内にどれくらいの猫がいるの?
東京都は、平成29年度に調査(※)を実施し、都内の猫の生息数を推計しました。
※「東京都における犬および猫の飼育実態調査」参照
それによると、猫を飼育している世帯の割合は約1割(11.5%)で、約107万頭が飼育されていることが分かりました。
また、飼い主のいない猫の数は、約10万頭と推計されました。
全体では、約117万頭となり、犬の飼育数(推計約55万頭)をはるかに超える数の猫がいると推計されています。
2 屋内飼育をしましょう
猫の生息数の調査と同時に、飼育方法についても調べたところ、飼い猫の73.7%が完全屋内で飼育でされており、24.3%が屋外でも飼育されていることが分かりました。
交通量が多く住宅が密集している東京のような都市においては、猫を屋外で飼うことは、交通事故、感染症、猫どうしのけんかなど、猫にとって危険がいっぱいです。
猫を屋内で飼うことにより、飼い主は、これらの危険から猫を守ることができます。
また、ふん尿などでご近所にご迷惑をかけることもなくなります。
猫の飼い方には、法的な厳しい規制はありませんが、だからこそ、飼い主としての責任ある飼い方を考えたいものです。
室内飼いのポイント
- 新鮮な水と餌
- 上下運動ができる場所
- いつもきれいなトイレ
- 不妊去勢手術
- 狩猟本能を満たすための楽しいおもちゃ
- 飼い主の愛情とスキンシップ
タバコの副流煙は人だけでなく一緒に暮らす猫の健康にも悪影響を与える可能性があります。受動喫煙の害に気をつけてください。消臭剤、殺虫剤などの化学薬品にも注意して、猫の近くで使用することは控えましょう。
3 不妊去勢手術と終生飼育
東京都動物の愛護及び管理に関する条例では、動物の終生飼育を定めています。
しかし、令和元年度には、所有者から50頭の猫が東京都に引き取られています。
※「東京都統計」参照
また、拾得者からも195頭の猫が引き取られています。
拾得者から引き取られた猫のほとんどは、生後数日の子猫です。
これらの子猫たちは未熟すぎて、譲渡の対象にすることが困難です。
そのため、ほとんどの猫が、残念ながら致死処分となっています。
「飼い主のいない猫」は自然に発生したものではなく、捨てられた飼い猫が原因となったものです。
不幸な猫をこれ以上増やさないためにも、猫の飼い主が、今飼っている猫に不妊去勢手術をして、終生愛情をもって飼い続けることが大切です。
また、不妊去勢手術は、雄猫のスプレー防止や、生殖器系の病気の予防にもなります。
4 猫の身元表示をしましょう
東京都内では、衰弱や交通事故などで負傷して動けなくなった猫が、負傷動物として年間約300頭保護収容されています。
また、道路で交通事故死する猫も多く、飼い主も分からないままに、道路上の猫の死体として処理されています。
都の調査では、連絡先のある首輪など、身元が表示できるものを装着している猫は7.1%で、マイクロチップを入れている猫は8.5%でした。
首輪やマイクロチップで身元表示がされれば、迷子や事故、災害時などに保護されたときに、飼い主の元に帰りやすくなります。身元表示は、「飼い主の愛の証」です。
5 都市におけるルールについて考えましょう
人も猫も快適に暮らすためには、その環境にふさわしい飼い方が求められます。
猫の飼育について条例では、「他人に迷惑をかけないように飼わなければならない」としています。
平成11年3月には、東京都動物保護管理審議会から「都市での望ましい猫飼育のあり方」が示されました。
猫の飼養3原則
1 屋内飼育(逸走の防止、ふん尿の被害を防止、野鳥などの小動物への被害を防ぐ、交通事故や感染症の危険から猫を守る)
2 身元の表示(飼い主の責任をはっきりさせる) 名札、マイクロチップなど
3 不妊去勢手術(不幸な命を生みださない)
人と猫とが安全で快適な生活を送ることができる地域社会を作っていくために、都市における猫の飼育方法について考えてみましょう。
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このページの担当は 健康安全部 環境保健衛生課 動物管理担当(03-5320-4412) です。