ビワの種子には、有害な物質が含まれていることがあるって本当ですか?【食品安全FAQ】
回答
- ビワなどバラ科の植物の種子には「アミグダリン」という物質が含まれており、大量に摂取すると中毒症状を起こす危険があります。
詳細
アミグダリンとは
- ビワ、杏、ウメ、桃など、バラ科の植物の種子や未熟な果実に天然に含まれている物質です。
- アミグダリンを人間が食べると、体内で毒性の強いシアン化水素(青酸)に変わります。摂取量が多いと、頭痛、めまい、悪心、おう吐などの中毒症状を起こす危険があります。
「アミグダリンは健康に良い」は誤り
- アミグダリンはかつて一部で「ビタミンB17」と呼ばれていましたが、実際は人間の代謝に必須の栄養素ではなく、欠乏症も報告されていません。そのため、現在はビタミンの定義には該当しないとされています。
- また一部で議論された「抗がん作用」については、アメリカの国立がん研究所が臨床研究に基づき否定しています。
- 海外ではアミグダリンの大量摂取による、健康被害事例や死亡事例が報告されています。
高濃度のアミグダリンを検出した食品も
- 東京都では、アミグダリンが含まれる可能性のある食品の検査を行いました。
- その結果、ビワ種子粉末から高い値のアミグダリンを検出しました。 (最大値:アミグダリン7,200マイクログラム/g、総シアン980マイクログラム/g)
- このことを受け、農林水産省はホームページで「ビワの種子の粉末は食べないようにしましょう」と呼びかけるとともに、ビワの種子を利用した料理のレシピについても注意喚起を行っています。
- また厚生労働省は地方自治体あてに、「びわ種子粉末について、10ppm(10マイクログラム/g)を超えてシアン化合物(総シアン)が検出された場合には、原則として、食品衛生法第6条第2号(有害な物質を含む食品の販売を禁止)に該当するものとして措置すること」と事務連絡をしました。
- 種子を乾燥して粉末に加工した食品など、一度に大量に食べられる形状の食品では特に注意が必要です。
熟した果肉は食べても大丈夫
- アミグダリンは果物の成熟と共に分解されるため、熟した果肉は安全に食べられます。
- 青梅は梅干しや梅酒などに加工することで、アミグダリンが低減することが知られています。
参考ホームページ
食品安全委員会「ビワの種子には天然の有害物質が含まれています」
お問い合わせ
このページの担当は 健康安全研究センター 企画調整部 健康危機管理情報課 食品医薬品情報担当 です。