ふぐとふぐ毒
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ふぐは、「ふぐは食いたし命は惜しし」と詠われるように、その美味しさとともに猛毒があることが昔から知られており、取り扱いを誤ると命を落とすことがあります。
東京都では、ふぐ取扱責任者の免許を持った者により、ふぐ取扱認証施設で処理されたふぐ以外を、業として客に提供することはできません。
ふぐ毒とは
ふぐの毒は、テトロドトキシンという物質です。
文献により差はありますが、テトロドトキシンは青酸カリの500から1000倍の毒性を示す猛毒であり、耐熱性があるため、通常の加熱調理では壊れません。人間の致死量は、2から3ミリグラムといわれています。
テトロドトキシンは、フグ科の魚類だけでなく、ツムギハゼ、ヒョウモンダコ、バイ、ヒトデ、スベスベマンジュウガニ等の海洋生物のほか、イモリやカエルなどの両生類からも発見されています。
ふぐがなぜ毒化するかについては、まだよく分かっていませんが、海洋細菌のいくつかの種類(Vibrio alginolyticus ,V.damsela,Staphylococcus等)に、テトロドトキシン産生が認められ、これらの細菌が、小型巻貝などに取り込まれ、ふぐがこれらを食べることにより毒を蓄積すると考えられています。
ふぐ毒の特徴
1.ふぐは種類によって毒力が異なる。
2.臓器の種類によって毒力が異なる。
3.毒力は個体差が大きい。
4.有毒とされている臓器は通年で有毒である。
5.漁獲海域によって毒力が異なる場合がある。
ふぐ中毒の症状
ふぐ中毒の経過は、非常に早く、食べてから死亡するまでの致死時間は、通常は4~6時間です。最も短い事例で、1時間半という致死時間が報告されています。
経過 | 主な症状 |
第1段階 | 食後20分から3時間までに、口唇、舌先、指先のしびれが始まる。 激しい嘔吐が続くこともある。歩行は千鳥足。 |
第2段階 | まもなく知覚マヒ、言語障害、呼吸困難となり、血圧が降下する。 |
第3段階 | 全身が完全な運動マヒ状態 |
第4段階 | 意識消失後、まもなく呼吸、心臓が停止し、死にいたる。 |
なお、食べてから症状が現れるまでの時間が短い場合ほど致死率が高いといわれています。
ふぐ有毒部位の処分方法について(市場関係者の皆様へ)
東京都では東京都ふぐの取扱い規制条例により、ふぐ取扱責任者の義務として、ふぐの有毒部位は焼却等衛生上の危害が生じない方法で処分することと定められています。未処理のふぐや有毒部位の処分を委託する際には手渡しする等、盗難や紛失の恐れのない方法で確実に引き渡してください。
なお、市場関係者の方で未処理のふぐや有毒部位の処分についてご不明な点がありましたら、市場衛生検査所(03‐3520-8101)までお問い合せください。