温泉の利用について
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温泉が利用されるまでの手続き
温泉を利用するためには、以下の4つの許可が必要です。
- 温泉の掘削の許可(土地を掘るとき)
- 動力の装置の許可(ポンプを設置するとき)
- 採取の許可又はガス濃度確認(くみ上げるとき)
- 温泉の利用の許可(利用するとき)
温泉の掘削、動力の装置、採取の許可及びガス濃度確認は、環境局自然環境部水環境課で行っています。
温泉とは
温泉とは、温泉法の規定により、「地中からゆう出する温水、鉱水及び水蒸気その他のガス(炭化水素を主成分とする天然ガスを除く。)で、別表に掲げる温度又は物質を有するもの」をいいます。
地中から採取される地下水の濃度が摂氏25度以上であれば温泉となり、また、摂氏25度未満であっても、物質の条件を一つでも満たせば温泉となります。
1. 温度 | |
温泉源から採取されるときの温度 | 摂氏25度以上 |
2. 物質(以下に掲げるもののうち、いずれかひとつ) | |
物質名 | 含有量(1キログラム中) |
溶存物質(ガス性のものを除く。) | 総量1,000ミリグラム以上 |
遊離炭酸(遊離二酸化炭素) | 250ミリグラム以上 |
リチウムイオン | 1ミリグラム以上 |
ストロンチウムイオン | 10ミリグラム以上 |
バリウムイオン | 5ミリグラム以上 |
フェロ又はフェリイオン(総鉄イオン) | 10ミリグラム以上 |
第一マンガンイオン(2価のマンガンイオン) | 10ミリグラム以上 |
水素イオン | 1ミリグラム以上 |
臭素イオン(臭化物イオン) | 5ミリグラム以上 |
沃素イオン(ヨウ化物イオン) | 1ミリグラム以上 |
ふっ素イオン(フッ化物イオン) | 2ミリグラム以上 |
ヒドロひ酸イオン(ヒ酸水素イオン) | 1.3ミリグラム以上 |
メタ亜ひ酸 | 1ミリグラム以上 |
総硫黄 | 1ミリグラム以上 |
メタほう酸 | 5ミリグラム以上 |
メタけい酸 | 50ミリグラム以上 |
重炭酸そうだ(炭酸水素ナトリウム) | 340ミリグラム以上 |
ラドン | 20(百億分の1キュリー単位) =74ベクレル以上 (5.5マッヘ単位以上) |
ラジウム塩(Raとして) | 1億分の1ミリグラム以上 |
温泉の種類
温泉の中でも治療の目的に供することができるものを「療養泉」といいます。
以下の温度又は物質の条件を1つでも満たせば「療養泉」となり、泉質による名前がつきます。
1. 温度 | |
源泉から採取されるときの温度 | 摂氏25度以上 |
2. 物質(以下に掲げるもののうち、いずれかひとつ) | |
物質名 | 含有量(1キログラム中) |
溶存物質(ガス性のものを除く。) | 総量1,000ミリグラム以上 |
遊離二酸化炭素 | 1,000ミリグラム以上 |
総鉄イオン | 20ミリグラム以上 |
水素イオン | 1ミリグラム以上 |
よう化物イオン | 10ミリグラム以上 |
総硫黄 | 2ミリグラム以上 |
ラドン | 30(百億分の1キュリー単位) =111ベクレル以上 (8.25マッヘ単位以上) |
- 単純温泉
温泉1キログラム中に溶存物質(ガス性のものを除く。)が1,000ミリグラム未満で、温度が摂氏25度以上の温泉をいいます。また、湧出地でのpH測定値が8.5以上の場合は、「アルカリ性単純温泉」といいます。 - 塩類泉
温泉1キログラム中に溶存物質(ガス性のものを除く。)を1,000ミリグラム以上含むものをいいます。主成分により「塩化物泉」「炭酸水素塩泉」「硫酸塩泉」に分類され、「ナトリウム-塩化物泉」「マグネシウム-硫酸塩泉」などの泉質名があります。 - 特殊成分を含む療養泉
特定の物質を限界値以上含む温泉をいいます。「硫黄泉」「二酸化炭素泉」「放射能泉」などがあり、その他の成分によって、「単純硫黄泉」「含硫黄-ナトリウム-塩化物泉」などの泉質名があります。
温泉の作用
温泉は、温度、成分、自然環境などの要因が総合的に作用し、私たちの体に対して、さまざまな影響を与えることが知られています。
- 温度や水圧などによる作用(物理的作用)
皮膚・筋肉・肺などに物理的刺激が加えられることにより、血行や発汗を促進します。 - 成分による作用(化学的作用)
成分が皮膚から体内に吸収されることによる効果をいいます。治療目的に利用できるものが「療養泉」です。 - 気候、地形などの自然環境による作用
森林や海辺など日常と異なる自然景観や雰囲気が、日々の生活によるストレスを和らげます。
温泉の効果
温泉の効用は、多くの要因が総合的に作用したものであり、その成分だけで確定することはできませんが、「療養泉」には以下の適応症があります。
なお、「療養泉」以外の温泉については、適応症を決定していません。
療養泉の一般的適応症(浴用) | 泉質別適応症(浴用) | |
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単純温泉 | 筋肉若しくは関節の慢性的な痛み又はこわばり(関節リウマチ、変形性関節症、腰痛症、神経痛、五十肩、打撲、捻挫などの慢性期)、運動麻痺における筋肉のこわばり、冷え性、末梢循環障害、胃腸機能の低下(胃がもたれる、腸にガスがたまるなど)、軽症高血圧、耐糖能異常(糖尿病)、軽い高コレステロール血症、軽い喘息又は肺気腫、痔の痛み、自律神経不安定症、ストレスによる諸症状(睡眠障害、うつ状態など)、病後回復期、疲労回復、健康増進 | 自律神経不安定症、不眠症、 うつ状態 |
塩化物泉 | きりきず、末梢循環障害、 冷え性、うつ状態、皮膚乾 燥症 |
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炭酸水素塩泉 | きりきず、末梢循環障害、 冷え性、皮膚乾燥症 |
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硫酸塩泉 | きりきず、末梢循環障害、 冷え性、うつ状態、皮膚乾 燥症 |
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二酸化炭素泉 | きりきず、末梢循環障害、 冷え性、自律神経不安定症 |
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含鉄泉 | ― | |
酸性泉 | アトピー性皮膚炎、尋常性 乾癬、耐糖能異常(糖尿病)、 表皮化膿症 |
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含よう素泉 | ― | |
硫黄泉 | アトピー性皮膚炎、尋常性 乾癬、慢性湿疹、表皮化膿 症 |
|
硫黄泉(硫化水素型) | アトピー性皮膚炎、尋常性 乾癬、慢性湿疹、表皮化膿 症、末梢循環障害 |
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放射能泉 | 高尿酸血症(痛風)、関節リ ウマチ、強直性脊椎炎など |
温泉に入れないとき
温泉に入ることが好ましくない病気や状態があり、これを「禁忌症」といいます。このような体調のときは温泉に入ることを控えましょう。
1. 温泉の一般的禁忌症(浴用) | |
全ての温泉に共通するものです。 病気の活動期(特に熱のあるとき)、活動性の結核、進行した悪性腫瘍又は高度の貧血など身体衰弱の著しい場合、少し動くと息苦しくなるような重い心臓又は肺の病気、むくみのあるような重い腎臓の病気、消化管出血、目に見える出血があるとき、慢性の病気の急性増悪期 | |
2. 泉質別禁忌症(浴用) | |
酸性泉 | 皮膚又は粘膜の過敏な人、高齢者の皮膚乾燥症 |
硫黄泉 |
温泉に入るときに気をつけること
健康であっても、長湯をしたり一日に何度も入ったりすると、体調が悪くなることがあります。
禁忌症がなくても、以下の点に注意して温泉を楽しみましょう。
浴用の方法及び注意
温泉の浴用は、以下の事項を守って行う必要がある。
ア.入浴前の注意
(ア) 食事の直前、直後及び飲酒後の入浴は避けること。酩酊状態での入浴は特に避けること。
(イ) 過度の疲労時には身体を休めること。
(ウ) 運動後30分程度の間は身体を休めること。
(エ) 高齢者、子供及び身体の不自由な人は、1人での入浴は避けることが望ましいこと。
(オ) 浴槽に入る前に、手足から掛け湯をして温度に慣らすとともに、身体を洗い流すこと。
(カ) 入浴時、特に起床直後の入浴時などは脱水症状等にならないよう、あらかじめコップ一杯程度の水分を補給しておくこと。
イ.入浴方法
(ア) 入浴温度
高齢者、高血圧症若しくは心臓病の人又は脳卒中を経験した人は、摂氏42度以上の高温浴は避けること。
(イ) 入浴形態
心肺機能の低下している人は、全身浴よりも半身浴又は部分浴が望ましいこと。
(ウ) 入浴回数
入浴開始後数日間は、1日当たり1から2回とし、慣れてきたら2から3回まで増やしてもよいこと。
(エ) 入浴時間
入浴温度により異なるが、1回当たり、初めは3から10分程度とし、慣れてきたら15から20分程度まで延長してもよいこと。
ウ.入浴中の注意
(ア) 運動浴を除き、一般に手足を軽く動かす程度にして静かに入浴すること。
(イ) 浴槽から出る時は、立ちくらみを起こさないようにゆっくり出ること。
(ウ) めまいが生じ、又は気分が不良となった時は、近くの人に助けを求めつつ、浴槽から頭を低い位置に保ってゆっくり出て、横になって回復を待つこと。
エ.入浴後の注意
(ア) 身体に付着した温泉成分を温水で洗い流さず、タオルで水分を拭き取り、着衣の上、保温及び30分程度の安静を心がけること(ただし、肌の弱い人は、刺激の強い泉質(例えば酸性泉や硫黄泉等)や必要に応じて塩素消毒等が行われている場合には、温泉成分等を温水で洗い流した方がよいこと。)。
(イ) 脱水症状等を避けるため、コップ一杯程度の水分を補給すること。
オ.湯あたり
温泉療養開始後おおむね3日から1週間前後に、気分不快、不眠若しくは消化器症状等の湯あたり症状又は皮膚炎などが現れることがある。このような状態が現れている間は、入浴を中止するか、又は回数を減らし、このような状態からの回復を待つこと。
カ.その他
浴槽水の清潔を保つため、浴槽にタオルは入れないこと。
温泉分析書
温泉の成分を分析した結果書のことを温泉分析書といいます。都道府県知事の登録を受けた登録分析機関は、現地調査や水質検査を行い、分析結果をまとめ、温泉分析書として発行します。
温泉事業者は、10年以内ごとに、登録分析機関による温泉成分分析を受けなければなりません。
温泉の成分等の掲示
施設内の見やすい場所に、以下の事項が掲示されています。脱衣室などに掲示されていることが多いので、温泉に入る前に読んでみましょう。
- 源泉名
- 温泉の泉質
- 源泉及び使用場所における温泉の温度
- 温泉の成分
- 温泉の分析年月日
- 登録分析機関の名称及び登録番号
- 浴用の禁忌症
- 浴用の方法及び注意
- 加水している場合はその旨及び理由
- 加温している場合はその旨及び理由
- 循環させている場合はその旨及び理由
- 入浴剤を加え、又は消毒している場合は入浴剤の名称又は消毒の方法及びその理由