飲用に供する井戸等
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指導要綱
井戸水はその土地から得られる貴重な資源ですが、有害化学物質の地下浸透、井戸周辺の整備不良などが原因で汚染されるおそれがあります。
また、地域によっては自然由来の有害物質が検出されることがあります。
東京都では飲用に供する井戸等の適正管理と汚染時における措置を定め、井戸等の飲み水の衛生確保のため、「飲用に供する井戸等の衛生管理指導要綱」に基づき、指導しています。
◇ 飲用
飲み水のほか、炊事用(営業用を含む料理及び食器洗い)、洗面用など人の口に入る水の利用をいい、浴槽水、洗濯水、散水、トイレ洗浄水など飲用以外の利用や食品等の製造工程(原料を含む。)での利用は含みません。
◇ 飲用に供する井戸等(以下「井戸」という。)
地下水を利用する井戸のほか、 表流水(河川水、沢水等)及び湧水を水源として、個人住宅、寄宿舎、共同住宅等に居住する者及び官公庁、学校、病院、工場、その他事業所等で 飲用に供するものをいいます。
なお、個人住宅以外で貯水槽を設けた場合には、 小規模貯水槽水道等(飲用井戸等)に該当します。
ただし、雨水(天水)を水源として利用するものは含みません。
(1) 専用井戸
水道が布設されていなく、利用者が専ら井戸等を飲用している井戸
(2) 併用井戸
水道が布設されているが、利用者が水道水及び井戸水を併用して飲用している井戸
飲用井戸の管理については、パンフレット「飲用井戸の衛生管理」を参照してください。
保健所の調査、指導
保健所では井戸の設置者(所有者)からの申出によるほか、利用者の健康と安全を確保するため、必要に応じて現場調査を行い、 実態把握を実施しています。
調査への御協力をお願いいたします。
1 申出に伴う施設概要の把握
飲用に供する井戸について、設置者からの申出の義務はありませんが、井戸の管理方法などに関する御相談の際、保健所では実態把握のため、施設概要書の御提出をお願いすることがあります。
2 現場調査による実態把握
利用者からの相談、営業施設等での利用状況などから実態把握のため、設置者に利用実態の聴取及び施設概要書の御提出をお願いすることがあります。
3 行政措置による水質検査
特定の地域における井戸の水質を把握するため、保健所による水質検査への御協力をお願いすることがあります。
4 汚染事故発生時における調査
井戸が汚染されたとき、又はそのおそれがあるとき保健所では、井戸及びその周囲の汚染原因等の有無を調査するため、当該井戸設置者及び周辺に存在する井戸設置者に御協力をお願いすることがあります。
また、汚染事故による被害拡大を防止するため、保健所長から設置者に対して必要な措置を指示することがあります。
平常時の措置
井戸の設置者(所有者)は、衛生管理を自主的に行うため、要綱で規定する次の措置を講じるよう努めてください。
1 汚染防止の措置
井戸及びその周囲にみだりに人や動物が立ち入らないようにし、常に清潔に保つなど、汚染防止措置を講じてください。
2 設備状況の点検
井戸の設備状況について定期的に点検を行ってください。
3 水質の確認
井戸水の色、濁り、におい及び味等の異常の有無を 毎日確認してください。
また、消毒設備を有する場合には、残留塩素濃度については遊離残留塩素濃度1リットルにつき0.1ミリグラム以上、又は結合残留塩素濃度1リットルにつき0.4ミリグラム以上確保されていることを 7日以内ごとに1回確認してください。
これらの検査は、末端給水栓において行い、「残留塩素等測定記録表」を参考にして記録してください。
なお、異常を認めたときは、原因を調査するとともに必要な水質検査を行ってください。
4 水質検査
水質基準に関する省令(平成15年厚生労働省令第101号)に定められている水質基準(以下「水質基準」という。)のうち、一般細菌、大腸菌、亜硝酸性窒素、硝酸態窒素及び亜硝酸性窒素、塩化物イオン、有機物等(全有機炭素(TOC)の量)、pH値(ペーハー値)、味、臭気、色度及び濁度並びにトリクロロエチレン及びテトラクロロエチレン等に代表される有機溶剤その他水質基準項目のうち周辺の水質検査結果等から判断して必要となる項目に関する水質検査を 1年以内ごとに1回行ってください。
ただし、個人住宅(設置者が専ら自己の居住の用に供する住宅のみに飲用水を供給するために設置するもの)にあっては、1年以内ごとに1回行うことが望ましい。
5 保健所への連絡
水質検査の結果、異常が判明したときは、直ちに保健所に連絡してください。
6 新規井戸の留意点
井戸を新たに設置する場合は、汚染防止のため、その設置場所、設備に十分配慮してください。
また、使用開始に当たっては、塩素酸、クロロ酢酸、クロロホルム、ジクロロ酢酸、ジブロモクロロメタン、臭素酸、総トリハロメタン、トリクロロ酢酸、ブロモジクロロメタン、ブロモホルム及びホルムアルデヒド(以下「消毒副生生物」という。)を除き(ただし、当該井戸周辺の地下水等よりこれらの物質が検出されている場合を除く。)、水質基準の定められている全項目(ただし、水源が湖沼等水が停滞しやすい表流水でない場合は、別名ジェオスミン及び別名2-メチルイソボルネオールの検査を省略することができる。)について水質検査を実施、水質基準に適合していることを確認してください。
ただし、消毒を行っている場合は、消毒副生生物についても水質検査を実施してください。
・参考
7 帳簿書類の保管
点検記録、水質検査の記録は 5年間保存してください。
また、井戸の設備や施設に関する図面は、常時保存してください。
汚染が判明したときの措置
井戸の設置者(所有者)は、井戸が汚染されたとき、又はそのおそれがあるときは、要綱で規定する次の措置を講じてください。
特に、専用井戸については、次の2及び3の措置を 専早急に必ず実施用井戸してください。
1 保健所への通報
井戸が汚染されたとき、又はそのおそれがあるときは、直ちに保健所へ通報してく ださい。設置者は、被害の拡大を防止するための保健所の業務に御協力ください。
2 使用者へ周知
井戸の使用者に汚染状況を周知してください。
3 使用停止
井戸の使用停止等の措置を行ってください。
4 代替水の確保
井戸の使用停止等の措置を講じたときは、ペットボトル飲料水や水道事業体(東京都水道局)へ給水車手配の調整など、代替水を確保してください。
5 使用再開
汚染等の原因が解消され、井戸の使用を再開するにあたっては、水質検査を実施し、安全を確認してください。
6 水道への切換
水質の安全を確保できない場合は、水道に切り換え、安全な飲み水を確保する措置を講じてください。