金属製の水筒に飲み物を入れる際の注意点はありますか?【食品安全FAQ】
- 金属容器から溶け出した金属成分による中毒事例があるって本当ですか?
回答
- 金属製の容器や調理器具は、傷がついていたり、酸性飲料を長時間保管するなどの誤った方法で使用したりすると、金属成分が食品や飲み物中に過剰に溶け出し、思わぬ事故につながることがあります。過去には、内側に傷がついた金属製水筒による中毒事例もあります。
- 金属製水筒に飲み物を入れる際は取扱い説明書をよく確認し、正しく使用することが重要です。
詳細
金属製の容器で中毒ってどういうこと?
・アルミニウムや銅、鉄など、金属で作られた容器や調理器具は、酸性の食品に接触すると金属が溶け出すことがあります。
・通常、短時間では、溶け出す金属の量はごく微量です。また、容器や調理器具の内側をコーティングして金属と食品が直接接触しないようにする等、金属が過剰に溶け出すことがないように様々な工夫がなされています。
・しかし、容器や調理器具に傷が付いていたり、酸性飲料を長時間保管するなどの誤った方法で使用したりすると、金属成分が食品や飲み物中に過剰に溶け出し、思わぬ事故につながることがあります。特に、銅は多量に摂取すると中毒を起こす可能性があります。
どのようなことに気をつければいいの?
・容器や飲み物の説明書や注意書きをよく確認し、酸性度の高い飲み物や食べ物を金属製の容器に長時間保管しないようにしましょう。もし長時間保管した場合は、通常と異なる味や色になっていないか、よく確かめましょう。
・容器の内部にサビや傷がないか、よく確認しましょう。サビや傷があると、本来食品や飲み物が触れない部分が露出して、そこから金属成分が溶け出すことがあります。特に、落としたりぶつけたりした場合、外見上異常がないように見えても破損していることがありますので、 使用する前によく確認しましょう。
・古くなった容器は、劣化により内部が破損していることがあります。 思わぬ事故を防ぐためにも、定期的に新しいものに交換しましょう。
参考1 酸性飲料ってどんなものがあるの?
・炭酸飲料、乳酸菌飲料、果汁飲料、スポーツ飲料など、炭酸、乳酸、ビタミンC、クエン酸(柑橘類を始めとする果物に多く含まれます。)などを多く含む飲み物は、酸性度が高くなります。
参考2 実際に中毒事例があるの?
・内側に傷がついた水筒による中毒事例を紹介します。
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スポーツ飲料を飲んで6名が苦味を感じ、頭痛、めまい、吐き気などの症状を呈したとの連絡が都内の保健所に入りました。
実際に患者が飲んだスポーツ飲料は、通常は乳白色のところ、青緑色に変化しており、水筒の内部には小さな褐色の物質がたくさん付着していました。 検査の結果、残っていたスポーツ飲料から高濃度の銅(880μg/g(ppm))が検出され、水筒の内部に付着していた褐色物質の主成分も銅でした。
スポーツ飲料は、当日朝7時半ごろに粉末を水に溶かして水筒に詰めたもので、実際に飲んだその日の午後2時ごろまでそのまま保管されていました。水筒の内部は、一見して破損している様子はありませんでしたが、再現試験をしたところ、内部に青緑色の液体が溜まりました。水筒の製造元に確認した結果、保温のため水筒の壁は二重構造になっており、通常は飲料に接しない二重構造の一部分に銅を使用していることが判明しました。
この事例の原因は、水筒の内部が破損しており、スポーツ飲料を入れて長時間置いたことにより、破損部分から通常は飲料に接しない二重構造の内部に酸性のスポーツ飲料が染み込み、保温構造に使われていた銅が溶出したためと考えられました。(平成20年事例)
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参考ホームページ
食品衛生の窓「水筒、やかんなど金属製の容器の使用方法にご注意ください!~酸性飲料による金属の溶出に伴う中毒に注意~(リーフレット PDF:251KB)」
東京都健康安全研究センター年報第60号「化学物質及び自然毒による食中毒等事件例(平成20年)(PDF)」
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このページの担当は 健康安全研究センター 企画調整部 健康危機管理情報課 食品医薬品情報担当 です。