食べもの暦 令和2年3月号 すっぽん/有毒植物に注意しましょう
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すっぽん
鍋として冬に食べることの多いイメージがある「すっぽん」。高級食材として知られ、栄養豊富で滋養強壮に効くとされています。
どんないきもの?
「すっぽん」は河川や池に生息する体長約30センチメートルのカメの一種です。他のカメとは違って甲羅が柔らかく、英語でSoft-shelled turtle(柔らかい甲羅を持つカメ)と呼ばれます。「スポンスポン」という鳴き声や、水に飛び込んだときの音が名前の由来です。野生の「すっぽん」は、2016年に国際自然保護連合(IUCN)のレッドリスト(絶滅のおそれのある野生生物のリスト)に掲載されました。東京都のレッドデータブックでも絶滅危惧1類に指定されています。
すっぽんの旬はいつ?
現在、市場に出回る「すっぽん」の多くは養殖されたもので、天然ものはごくわずかです。天然ものや自然に近い環境で育てる「露地養殖」の「すっぽん」は、水温が下がる10月頃から冬眠します。冬眠前には餌をたくさん食べて栄養を蓄えるため、冬眠前が一番美味しくなると考えられています。一方、冬眠させない「加温養殖」の「すっぽん」は、年間通して肉質は一定で、明確な旬はないようです。
食品としての利用方法は? 食中毒にも注意!!
石器時代の遺跡から骨が出土しており、古くから食べられていたようです。主に西日本の食文化でしたが、江戸時代に徐々に関東地方でも食べられるようになりました。スープや鍋、雑炊などの他、ドリンクやサプリメントなど健康食品としても利用されます。一方、「すっぽん」はサルモネラ属菌などの食中毒菌を持っていることがあり、刺し身や生き血を原因とする食中毒も発生しています。特に、高齢の方や基礎疾患を持つ方は、生食を避けて十分に加熱して食べましょう。
食べものクイズ
食用の「すっぽん」は、かつては天然のものを捕獲していましたが、現在は養殖されたものがほとんどです。では、日本でのすっぽん養殖の発祥地はどこでしょう?(答えはこのページの一番下にあります。)
- 長崎県
- 静岡県
- 大分県
- 北海道
有毒植物に注意しましょう
春先から初夏にかけては、山菜摘みのシーズンです。
一方で、例年この季節に有毒植物による食中毒が発生しており、死亡事例もあります。
家庭での発生が多く、原因のほとんどが、食べられる植物との見分けができないことです。
確実に判断できない植物は、絶対に食用として「採らない」、「食べない」、「売らない」、「人にあげない」ことが重要です。
有毒植物の一例
有毒植物 |
スイセン |
チョウセンアサガオ |
イヌサフラン |
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間違えやすい食用植物の例 |
ニラ(葉)、 ノビル(球根)、 玉ねぎ(球根) |
オクラ(つぼみ)、 ゴボウ(根)、 ゴマ(種) |
ギョウジャニンニク (芽・葉)、 ギボウシ(芽・葉) |
主な中毒症状 |
食後30分以内 吐き気、おう吐、 頭痛など |
口の渇き、おう吐、 瞳孔散大、呼吸の乱れ、 意識混濁など |
おう吐、下痢、皮膚の 知覚減退、呼吸困難、 重症の場合は死亡 |
有毒植物による食中毒を防止するために、家庭菜園などで、食用の野菜類と観賞用植物を一緒に栽培するのはやめましょう。
採取した植物を食べて体調が悪くなった場合は、すぐに医療機関を受診してください。(原因と思われる植物が残っている場合は、持参して診察の参考にしてもらってください。)
クイズの答え
2.静岡県です。
19世紀末に浜松市の川魚商が浜名湖で初めて養殖を行いました。温暖な気候や経済的利便性等から、養殖の適地とされたそうです。1970年代には大分県で加温養殖技術が確立されました。現在は、静岡県のほか、大分県や長崎県などの九州地方、京都府などでも養殖が行われています。