入院時の生活、転退院の準備について

入院中の過ごし方や病院の相談窓口の活用方法、介護が必要な方の退院準備、復職に向けた支援などのポイントを事例形式で解説します。

リハビリテーションについて

脳卒中のリハビリテーション治療は基本的には発症から48時間以内に開始することが望ましいとされ、身体機能の低下防止を目的としています。
その後、回復期、維持期・生活期にわたり、切れ目なくリハビリテーション治療を行うことが、重要です。

病院内の相談窓口について

病院には、医師・看護師だけでなく、リハビリテーションの専門職や栄養士、薬剤師、医療ソーシャルワーカーなど、さまざまな職種のスタッフが勤務しています。お困りのことがあればスタッフに声をかけましょう。
また、病院の多くは、医療連携室(医療相談室等)という相談窓口を設置しています。治療やリハビリテーション、お薬など医学的なことから、転院先医療機関、退院後の経済的な悩み、公的支援制度のことなど何でも相談してみましょう。
病院によっては、脳卒中・心臓病専用の相談窓口を設置している医療機関もあります。

転院先について

医療機関は急性期の治療を行う病院やリハビリテーション病院など、機能によって役割分担されており、状況に応じて適切な病院に転院となることがあります。

<監修>
木村 和美(日本医科大学大学院医学研究科 神経内科学分野 大学院教授)

退院の準備について

脳卒中や心臓病により後遺症が残る場合、入院前とは状況が異なるため、身体の回復状況、退院後の介護者の有無などを踏まえ、早めのうちから準備をしておきましょう。
利用できる制度や窓口は患者さんの後遺症や年齢などによって異なります。まずは、ご本人、ご家族と医療スタッフ間で、今の体の回復状況を確認し、自宅退院後の生活や復職などに向けた課題を話し合いましょう。

退院前カンファレンスとは

退院前カンファレンスとは、退院後の生活を支える地域の関係機関と病院内の多職種で行うカンファレンスです。患者・家族の希望や意向を踏まえ、必要な情報提供を行い、退院後の課題について検討して、患者・家族が安心して退院できるようにすることを目的としています。

<出席者の例> ※出席者は疾患や、状況によって異なります。

  • 本人、家族
  • 病院主治医・病棟看護師・理学療法士・医療ソーシャルワーカー
  • 訪問診療医・訪問看護師・ケアマネージャー

高齢者のみやひとり暮らしでの在宅療養

都内では、高齢者が高齢の家族を介護している世帯、おひとりで生活している世帯が多くいらっしゃいます。
安心して住み慣れた自宅で療養していくために、介護保険サービスを利用しましょう。(要介護度に応じて利用可能やサービスや利用限度額が異なります。)

介護や支援が必要と感じたら、まずは、地域包括支援センターに相談しましょう

退院後の通院、リハビリテーションについて

  • 退院後はかかりつけ医に定期的に通院し(又は訪問医の診療を受け)、再発予防や合併症の治療を続けましょう。病状や治療については、かかりつけ医に相談し、薬のことは、薬剤師に相談しましょう。かかりつけがない場合は、病院から紹介してもらうなどして持ちましょう。
  • 身体機能の回復・維持(心臓の場合は、再発や急性増悪予防)のために、退院後もリハビリテーションを続けましょう。
  • 発症からの期間、後遺症の種類、年齢、障害者手帳の有無などにより利用できるリハビリテーションが異なるため、退院前に病院で相談しておきましょう。

<監修>
新田 國夫(医療法人社団つくし会理事長)

復職・就職の準備は入院時から始めましょう

  • 病院に設置されている相談窓口(医療連携室等)で、医療スタッフに復職・就職について相談しましょう。
  • 休暇制度や給与保障制度など職場の就業規則を確認しましょう。
  • 具体的な働き方について、復職までに職場としっかり相談しておきましょう。(従業員数50人以上の職場には、産業医や産業保健スタッフがいるので確認しましょう)。

治療と仕事の両立支援・就労に関する主な相談先について

病院に設置されている相談窓口のほか、産業保健総合支援センター、ハローワーク、治療就労両立支援センター等、さまざまな相談窓口があります。

両立支援コーディネーター(国が実施する両立支援コーディネーター養成研修を受講したスタッフ)

主治医と会社の連携の中核となり、患者に寄り添いながら継続的に相談支援を行いつつ、個々の患者ごとの治療・仕事の両立に向けたプランの作成支援などを担います。

両立支援の図

<監修>
安部 節美(日本医科大学付属病院患者支援センター副センター長)

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