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「生物学的製剤の使用で全身状態が改善された成人アトピー性皮膚炎の例」

最終更新日:令和6年3月21日 | 公開日:令和6年3月21日

治療の経過~アトピー性皮膚炎とともに生きてきた私~

63才、女性。
私は生後3か月から現在まで続くアトピー性皮膚炎患者です。皮疹は頭皮から足の先まで全身にあり、重症で17歳ころには全身が掻き傷だらけで赤く腫れあがり、顔や頭皮からも浸出液が出て、体を動かすだけでも痛みがでるようなひどい状態になりました。四六時中痒みと痛みに耐える毎日だったことと、一番肌がきれいでいたい10代なのに血だらけでボロボロの肌になってしまい、こんなつらいなら早く死にたいと泣く日々でした。就職後も仕事の忙しさで悪化したり、いろいろな治療をして少し良くなったりはしましたが、皮疹が消えることはありませんでした。 一晩中掻きむしって一睡もできないのままに仕事に行くこともよくありました。ステロイド外用薬などを使ってなんとか日常生活に支障がない程度にコントロールをして生きてきました。
 

長期間治療してきて思うこと

アトピー性皮膚炎は良くなったり悪くなったりを繰り返す病気です。ステロイド外用薬等で治療してもすぐに悪化してしまい、挫折感を味わうこともよくあります。どうせ治らないのだからと適当にしてしまうこともよくあります。それでも治療を継続することで、仕事も続けてくることができ、趣味を楽しんだり旅行に行ったりと楽しみをみつけ、自分らしく生きることができるようにしていきました。

新しい治療で長年の症状が改善し、生活の質が劇的に向上

3年前からは生物学的製剤を使用し、全身状態が改善されました。長年ステロイド外用薬等で治療してきましたが、いくら塗ってもすぐに悪化してしまい挫折感がありましたが、生物学的製剤を使うと、体の中から治っていく感覚があります。一番改善されたのが痒みで、いままで生きてきて痒みの無いことがなかったので、普通の人ってこんな感覚なんだと初めてわかりました。 新薬ということで、副作用等に不安がありましたが、患者会の講演で知識を得て、薬の作用を納得して治療を開始することができました。 睡眠もしっかりとれるようになり、いままでは寝ていても掻きむしっていたので熟睡できていなかったことがわかり、今は朝すっきり起きて気力が充実してすることがわかり、熟睡とはこういうことなんだということが60年間生きてきて初めて体感できました。 以前は全身の皮疹が治らず苔癬化して固くなっていましたが、今は皮膚に炎症がなくなったので皮膚が柔らかくなりました。幼少期から続いていたので、人間の皮膚がこんなに柔らかいものだということを初めて実感しました。 また、ステロイド外用薬を使う量も減り、クリームタイプの保湿剤を塗るだけなので、スキンケアもとても楽になりました。

精神的苦痛や将来ヘの不安も改善

精神的苦痛も改善され、痒みや痛みに耐えることや、赤黒く固くなってボロボロの皮膚を人から見られる苦痛から解放されました。このまま一生治らないのではないか、いつまで外用薬を塗る治療を続けなければいけないのだろうという将来への不安もなくなりました。会社に行くときはお化粧をすることもでき、今まで私の顔を見ないでと下を向いていた私ですが、人と目を合わせて話すことができるようになりました。 今はアトピー性皮膚炎の治療は進化してきています。正しい治療情報を自ら得て、治療方法を主治医と相談しながらご自身の症状を改善していっていただきたいと思います。

医師からのワンポイントメッセージ

アトピー性皮膚炎の1番の特徴は「強い痒み」が慢性的に持続することです。その痒みのために生活の質が下がってしまうことは、医学的にも証明されています。最近、新しい治療薬が増え、特に中等症以上の患者さんの全身療法に使用できる生物学的製剤や分子標的治療薬は、従来の治療法よりも痒みを抑えることができます。それらと外用療法を併用することで、より良い肌の状態を維持できるようになり、更にお化粧も楽しめるようになります。

(公立昭和病院 小児科 担当部長 大場邦弘 先生より)


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独立行政法人環境再生保全機構

このページは東京都 健康安全研究センター 企画調整部 健康危機管理情報課 環境情報担当が管理しています。

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