HIV/エイズ(HIV感染症・エイズ(後天性免疫不全症候群))
6/1~6/30は東京都HIV検査・相談月間、11/16~12/15は東京都エイズ予防月間です!
HIV/エイズとは
HIV感染とエイズ(AIDS)の違い ~HIV≠AIDS~
HIV感染
体の中にHIV(ヒト免疫不全ウイルス)が存在している状態をいいます。自覚症状がほとんどないので、本人が気づくことは困難です。
エイズ(AIDS)
エイズとはHIVによって体の免疫力が低下し、その結果として、日和見(ひよりみ)感染症※など様々な合併症が出た状態をいいます。ただし、その場合も合併症の治療を行い、また、HIV感染の治療により免疫力を回復させることができます。
- ※日和見(ひよりみ)感染
免疫の力が弱くなったために、普段なら病気を起こさないような弱いカビ、細菌、ウイルスなどの病原体による症状を抑えきれずに、感染症が起きることをいいます。カンジタ症、ニューモシスチス肺炎等の23の病気が定められています。
治療の急速な進歩
HIV感染症とエイズ(HIV/エイズ)の治療は急速に進歩しました。
このことにより、HIVというウイルスが体内で増えるのを抑えながら付き合っていく慢性疾患としての面が大きくなっています。治療を続けながら、自分らしい生活を継続していくことができます。
そのためにも、早期発見と早期治療がとても大切です。
HIV/エイズの現状
東京都のHIV感染者とエイズ患者の状況です。
※直近のHIV/エイズの統計情報は、東京都感染症情報センター「後天性免疫不全症候群の流行状況」から確認できます。
症状
急性期
HIVに感染して2~4週間経過すると、発熱、咽頭痛、筋肉痛など、インフルエンザ様の症状が出てきます。これらの症状は多くの場合、自然に消えます。
また、無症状のこともあります。
無症候期
体の免疫力で、ウイルス量はある一定のレベルまで減少したところで安定し、その後、数年~10数年程度は症状がなく経過します。
エイズ発症期
治療をしないでいると、HIV感染により免疫力が低下し、健康な時にはかからない弱い病原体によってもかかる日和見感染症(ニューモシスチス肺炎や食道カンジダ症など)や悪性腫瘍の症状が現れます。
※結核の発症により、HIV感染やエイズが判明することがあります。
感染経路と予防
HIVは、感染している人の血液、精液、膣(ちつ)分泌液、母乳に主に含まれ、粘膜や傷口を通して人の体に入り、感染を引き起こします。
性行為による感染
HIV感染でもっとも多いのは、性行為による感染です。
性行為(セックス)といっても、性器や肛門、口腔を使った性行為などいろいろです。
性行為による感染を防ぐには
HIV感染症の予防には、コンドームを正しく使うことが有効です。
- ノーセックス(NO SEX)・・・セックスをしない
不特定多数や見知らぬ相手とは性行為をしないといったような、ノーセックスも予防のための選択肢のひとつです。 - セーフセックス(SAFE SEX)・・・安全なセックス
今は特定の相手しかいなくても、過去に他の人と性的接触があれば、過去のパートナーからの感染の可能性があります。ふたりとも感染がないことを確かめておくことが大事です。 - セーファーセックス(SAFER SEX)・・・より安全なセックス
コンドームを正しく使うことが感染の予防に有効です。
コンドームの正しい使い方
HIV感染症は自覚症状のない場合もあるため、過去のパートナーからの感染も考えられます。この中の誰かがHIVに感染していて無防備なセックスをした場合、この図の中の全員がHIVに感染する可能性があります。
早期発見・早期治療による感染防止
早期発見・早期治療を受けることにより、体内のウイルスを減らし、他人への感染の恐れを大幅に低減することができます。
母子感染
感染している母親から胎盤、産道、母乳を介して赤ちゃんに感染します。
母親から赤ちゃんへの感染の予防
妊娠前、または妊娠中のできるだけ早い時期に感染の有無を確認し、出産前から適切な医療を受けることにより、赤ちゃんへの感染確率を低くすることができます(1%以下)。
血液感染
HIVが含まれる血液等が不着した注射器を使用することなどで感染します。例えば、麻薬や覚せい剤の回し打ちなどがあります。
血液感染の予防
- 注射の回し打ちはもちろん、麻薬、覚せい剤などの薬物を使用しない。
- 血液がつく可能性があるカミソリ、歯ブラシ、ピアスなどを共用しない。
- 血液が皮膚や衣服などについたときは、流水でよく洗い流す。
※血液には、HIVに限らずいろいろな病原体が含まれている可能性があります。
こういったことでは感染しません!
- HIVは、唾液や尿からは感染しません。
- HIVの感染力は非常に弱いものです。熱や消毒にも弱く、人の体の中に入らなければ生きていけません。
- 家庭や学校、職場など日常生活では感染しません。
せき・くしゃみ、同じ鍋をつつく、コップの回し飲み、涙、汗、握手、トイレ、風呂やプール、理容・美容院、蚊、ネコ、犬、鳥を介してなどでは感染しません。
妊婦さんへ
妊娠前または妊娠中のできるだけ早い時期に感染の有無を確認し、出産前から適切な医療を受けることにより、赤ちゃんへの感染確率を低くすることができます(1%以下)。
また、母乳を介して赤ちゃんにウイルスが感染することがあるため、出産後は母乳での授乳を控える必要があります。
妊婦HIV検査(一次検査)で結果が陽性だった方へ
一次検査の陽性は「感染している」という意味ではありません
詳しくお知りになりたい方は、「妊婦HIV検査(一次検査)で結果が陽性だった方へ」(HIV感染妊娠と母子感染予防)をご覧ください。
HIV検査と相談
HIV相談
保健所や東京都HIV/エイズ電話相談では、「感染しているのではないか」といった不安や、「正しい予防方法が知りたい」など、さまざまな相談に応じています。プライバシーは守られます。匿名(とくめい)で電話でも相談できますので、気になることがあれば、気軽に相談してください。
保健所での相談
保健所で相談する場合はこちらをご確認ください。
東京都HIV/エイズ電話相談
匿名(とくめい)でHIV/エイズに関する様々な相談ができます。
電話:03-3227-3335
受付時間:月曜日から金曜日まで 正午から午後9時まで/土曜日・日曜日・祝日 午後2時から午後5時まで ※年末年始をのぞく。
※この電話相談は、HIV/エイズの感染不安相談をお受けしています。目的以外のお話、大声で怒鳴る、相談員への回答の強要等、お話のやり取りが難しい場合や、長時間・頻回なご相談は対応できません。多くの皆様に相談電話をご利用いただけるようご理解、ご協力の程よろしくお願いいたします。
HIV検査
HIVに感染しても、症状がほとんどないこともあり、感染しているかどうかは検査を受けなければわかりません。気になることがあればHIV検査を受けましょう。
検査方法
採血をしてHIV に対する抗体の有無などによりHIV に感染しているかどうかを調べます。
通常検査 | 結果は1~2週間後にわかります。 |
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即日検査 | 陰性の結果がその日のうちにわかる検査法です。 ただし、判定保留(陰性か陽性か結果が出ない)の場合は確認検査を行い、結果は1~2週間後にわかります。 |
検査を受けるタイミング
検査方法の違いなどによりタイミングが異なります。
感染の機会から60日以上(即日検査の場合は90日以上)経過せずに検査を受けた場合は、正確な結果が出ないことがあります。期間を経過した上で再度検査することが必要です。
通常検査 | 感染の機会から60日以上経過していないと、正確な結果がでないことがあります。 |
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即日検査 | 感染の機会から90日以上経過していないと、正確な結果がでないことがあります。 |
検査を受けるメリット
HIV感染を早い時期に知ることはとても大切なことです。
- 健康管理と早期に治療を始めることでエイズの発症を抑え、今までとほぼ同じ生活を送ることができます。
- 早期に治療を始めることで、他の人への感染の恐れを、大幅に下げることができます。
感染していたら
HIV感染症とエイズ(HIV/エイズ)の治療は急速に進んでいます
HIV感染症とエイズ(HIV/エイズ)の治療は急速に進歩してきました。このことにより、HIVというウイルスが体内で増えるのを抑えながら付き合っていく慢性疾患としての面が大きくなっています。治療を続けながら、感染する前とほぼ同じように生活をすることができます。
今までどおりの生活を続けることができます
HIVは、セックス以外では感染しにくい病気です。
感染が分かったからといって、昨日までの生活や周囲の人たちとのかかわりを急激に変えなくてもよいのです。また、周囲の人に検査の結果を急いで伝える必要はありません。
だれにどのように伝えるかは、相談機関に相談をしたりしながらゆっくりと決めてよいことです。
まず専門病院に行きましょう
あなたらしい生活を継続していくために、ぜひ早い時期に専門病院を受診しましょう。あなたに今必要なことを主治医やスタッフが一緒に考えてくれます。
相談の窓口はたくさんあります
一人で抱えずに、信頼できる身近な人、医療機関のスタッフ、専門相談員、NGO・NPOや保健所などの相談機関に相談をしてください。また、HIV陽性の人たちの交流や情報交換の機会を提供しているNGO・NPOもあります。
- ※詳しくは「たんぽぽ」(NGO・NPOでの相談)をご覧ください。
医療について
HIVに感染した場合、様々な医療サービスが受けられます。
エイズ診療協力病院
東京都では、HIV感染者・エイズ患者に適切な医療を提供するために「エイズ診療拠点病院」と「エイズ診療連携病院」を指定して、エイズ診療体制の中核としています。
「エイズ診療拠点病院」と「エイズ診療連携病院」を総称して「エイズ診療協力病院」としています。
エイズ診療拠点病院
エイズに関する総合的かつ高度な医療を提供する病院
エイズ診療連携病院
エイズ診療拠点病院と連携して、精神科、小児科、歯科等の専門分野における高度な医療を提供する病院
- ※詳しくはエイズ診療協力病院初診受診案内をご覧ください。
東京都エイズ協力歯科医療機関紹介事業
職場や住まいに近いところで、適切な歯科治療を受けられるようエイズ診療協力病院等との連携のもとに安心して受診できる歯科医療機関を紹介しています。
- ※詳しくは東京都エイズ協力歯科医療機関紹介事業をご覧ください。
役立つ制度
医療費の自己負担軽減(自立支援医療等)や福祉サービス等の制度があります。
- ※詳しくは「たんぽぽ」(役立つ制度や情報)をご覧ください。
基本情報
病原体 | HIV(ヒト免疫不全ウイルス) |
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潜伏期 | 数年~10数年 |
検査 | 血液検査により診断します。検査は感染したと思われる時から、60日以上経過してから受けることが必要です(即日検査は原則90日以上)。 |
治療 | 服薬治療により、エイズの発症を抑えられることから、感染を早く知って、治療を始めることが大切です。HIV感染症を根治する薬はまだ開発されていないため、服薬の継続が重要です。治療により、ウイルス量が検査で測定できないほどのわずかな量にまで抑えることができ、他の人への感染の可能性をとても低くすることができます。 |
感染経路 | HIVは、血液、精液、膣(ちつ)分泌液に多く含まれていて、粘膜や傷口から感染します。主な感染経路は、性行為感染、母子感染及び注射針の回し打ちなどの血液を介しての感染となっています。 |
HIV/エイズのQ&A
- A1.
口腔内でも口内炎などで粘膜に傷があると、感染の可能性があります。
- A2.
1回の性行為で感染する確率は、0.1~1%程度と言われていますが、1回の性行為で感染した人もいます。HIVの感染を防ぐためには、コンドームを正しく使いましょう。
- A3.
集団生活など日常の接触では、感染しません。
麻しんやインフルエンザなどのように空気感染や飛沫感染等で、集団感染する感染症ではありません。
- A4.
ピルはあくまでも避妊薬で、HIVの感染を防ぐ薬ではありません。HIVの感染を防ぐためにはコンドームの正しい使用が必要です。
- A5.
HIV検査は本人の意思に基づくことが原則です。
- A6.
「保健所」、「東京都新宿東口検査・相談室」及び「東京都多摩地域検査・相談室」では、匿名(とくめい)で検査をしているので、診断書・証明書等は発行していません。診断書・証明書等が希望であれば、民間の医療機関等での検査(有料)を受ける必要があります。
- A7.
ご本人をはじめ、ご家族やパートナーなど周りの人にとってもつらくショックなことだと思います。でもご本人をもっとも理解できるのは、家族やパートナーの方です。主治医や保健所なども相談に乗っているほか、NPO・NGOなどが実施している相談窓口もあります。
- ※詳しくは「たんぽぽ」(NGO・NPOでの相談)をご覧ください。
- A8.
HIVは日常生活の中では感染しません。また、HIV陽性者の多くは、定期的に通院しており、病状はコントロールされています。本人からの申し出がない限り、特別な対応は必要ありませんが、他の病気と同様に、プライバシーを守ることや定期通院への理解をしめすことが、本人への大きな支援になります。
- A9.
あなた自身、そして、家庭、学校、職場での正しい理解が必要です。
HIV陽性者は、決して特別な存在ではありません。しかし、差別・偏見がいまだに存在しており、このことは、HIV陽性者が生活していくうえで、大きな障害になっています。
- A10.
T as P(ティー・アズ・ピー)とはTreatment as Preventionの略で、「予防としての治療」という意味です。「HIVの治療を適切に行えば、他の人への感染を減らすこともできる」ということが証明されています。
- A11.
U=U(ユー・イコール・ユー)とはUndetectable=Untransmittableの略で、「(ウイルスが)検出されなければ感染させない」という意味です。「HIVの治療を受けて、血液中のウイルスが継続的に検出されなくなれば、性行為でも他の人へ感染させることはない」という事が証明されています。ただし、コンドームの使用は、他の性感染症を防ぐためにも有効です。